段木昇一

ブロックチェーンの技術は、仮想通貨に限らず、幅広い分野での応用が期待されており、今後の社会を大きく変革する可能性を秘めていることから、世界中で注目されている。 ところが、残念なことに、日本はこの分野で国際競争に立ち遅れているとの懸念が高まっている。なぜ日本にはブロックチェーン技術が不足しているのか? その最大の理由は日本にフィンテック(ITを活用した新しい金融サービス)への投資が少ないことにある。フィンテックの投資規模は中国のわずか1・5%程度にすぎないという調査結果もある。 さらにもう一つ背景にあるのは、日本国内での担い手(技術者)不足である。もともとブロックチェーンのエンジニアは、海外では「P2Pファイルシェア」のプログラマーが多い。なぜならブロックチェーンはP2Pの技術を用いて構築されている分散型ネットワークの一つだからだ。しかし日本では、この分野は著作権問題などがからむグレーゾーンだったため、これまでプログラマーが個人として、あるいはベンチャー企業として積極的に開発に携わっていなかったという事情がある。大企業ではなおさらそうした傾向が強く、ブロックチェーン技術に縁遠い時間が長かった。その結果、諸外国に比べて最先端の技術に対応できる人材の厚みに欠けてしまっている点は否めない。